自らが抱き枕と化し身動きがとれない中で、碇シンジは目を覚ました。
「綾波……」
「シンジ君。昨日、というより今朝か……お疲れ様だったわ」
シンジは第5の使徒ラミエルとの戦いの翌日、赤木リツコの研究室に呼び出されていた。
「リツコさんこそ、お疲れのようですね」
日頃、最低限の薄化粧しかしないリツコが、今日はファウンデーションをこってりと塗り、それでも目の下の隈を隠しきれていない。コンタクトレンズも辛いらしく、眼鏡を着用している。
「昨日は結局徹夜だったもの。でも、こんな仕事だから仕方ないわね」
いつものように、二人分のコーヒーをカップに注ぎながらリツコは答えた。
「綾波……さんはどうなんですか?」
「綾波レイはもう助からない……。いえ、既に死んでいると言った方がいいわ」
リツコの答えは、シンジの想像の埒外にあるものだった。新しいレイが現れるのであれば、特にシンジのようにレイの正体を知らされる立場にないはずの者には、その死は隠されるのが自然である。
「そんな……」
「あら、あなたはとっくに知っているものだと思っていたのだけど……。そうね、昨日の戦闘時のエヴァのレコーダーに記録されたあなたの声に、ちょっと疑問があったところなの。昨日、あなたは作戦前、ミサトに向かって『あなたは仇を討つことだけに集中してください』と言った。私たちはあの時点であなたが綾波レイが助からないことを知っていたんだと思っていたわ。でも、実際には――」
リツコはそう言うと机上のコンピュータの端末を操作し、記録を再生した。
『お願い、シンジ君。仇を……レイの仇を討って!』
「綾波が……綾波が死んだなんて……」
『シンジ君?』
「そんなの嘘だ!」
『シンジ君? 返事をして! シンジ君!』
「嘘だ、嘘だ、嘘だ!」
『何よ、あれ? まさか……。リツコ? リツコ!』
「自分には、自分には他に何もないって……そんなこと言うなよ」
「別れ際にさよならなんて悲しいこと言うなよ」
「僕はやっぱりバカシンジだ……」
「何故、急に取り乱したりしたのかしら? この時脳波もかなり乱れていたわ」
「僕はこんなことを言ってたのか……。全然覚えがありません。でも――」
シンジがその時取り乱していたのは事実であり、それらの言葉は彼の記憶に残ってはいなかった。
「この時初めて、綾波……さんが死んだんだと思ったのは確かです」
「それじゃ、作戦前のミサトへの言葉は?」
「ミサトさんって、お父さんの仇を討つためにNERVにいるんですよね」
はっ
「あなた、どうしてそんなことを?」
「葛城調査隊の生き残りですよね、ミサトさん。仮にも一尉、作戦課長まで昇進してきたんだから、本来無能なはずはないんです。それなのに、使徒相手の戦闘時に頭に血が上りすぎているあの感じは、普通の指揮官の姿じゃないですよ」
「ミサト、昨日辞表を提出したらしいわよ」
「本当ですか? でも、それで良かったのかもしれませんね……」
「受け取って貰えなかったそうよ。で、二尉に降格の上、保安部に異動らしいわ。頭を冷やせって……」
にゃんにゃにゃにゃにゃにゃんにゃっにゃっ……
「はい。解りました。……シンジ君も此処にいます。はい。はい。では……」
ちょうどその時、リツコに内線の電話で連絡が入った。
「シンジ君。ちょっと、これから司令の所へ行くわよ。続きはまた後で」
「しかし六分儀。シンジ君に槍を任せていいのか?」
「問題ありません。あれは餌を与えておけば、勝手にものを想像する種類の人間です。あの男と同じですよ」
司令執務室では、六分儀ゲンドウと冬月コウゾウが会話を交していた。
「シンジ君は賢いぞ?」
「目の前にぶら下がった事実をどれだけ集めたところで、真実には近付けませんよ」
ぷるるっ、ぷるるっ……
「先に赤木博士だけ入りたまえ」
ゲンドウがインターフォンに向かって命令すると、そこへリツコが入ってきた。
「この後、シンジを使って零号機を起動させろ」
「何故、零号機なのですか?」
「シンジをドグマに下ろす」
「シンジ君を?」
「君も知っている通り、あれは端から使徒の目的など信じておらん。信じさせる必要がある。それとは別に、フォースチルドレンを選出しろ。零号機に乗せる」
リツコは話を上手く逸されたとも感じたが、シンジが零号機でドグマに降りるという話題以上に、フォースチルドレン選出に対する疑問の方が大きかったため、そちらへの反論を試みた。
「ファーストチルドレンの例もあります。真の適格者以外では戦力にならないのでは?」
「囮くらいには役に立つ」
「しかし……」
「命令だ」
話はそれで終りだとばかりにゲンドウはインターフォンに向かい命令した。
「シンジ。入れ」
リツコが尚も反論を加えようとしていたが、シンジが入室してきたために断念して脇へ控えた。
「六分儀さん。今日はどういったご用件でしょうか?」
シンジはゲンドウの前でいつも取る、他人行儀な態度で尋ねた。
「シンジ君。君には後で零号機の起動実験を行って貰う」
ゲンドウがリツコと会話を交す間は完全に沈黙を守っていたコウゾウだったが、シンジの質問に答えたのはコウゾウだった。逆にゲンドウは、黙ってシンジをサングラス越しに見つめている。
「何故、零号機に?」
「君なら乗れるはずだよ。実験の後で君にはドグマに降りて貰う」
「ドグマ?」
「残念ながらファーストチルドレンはもはや戦力外だ。そこで君には主戦力になって貰う必要があるのだよ。そのために、君にも少し事情を知っておいて貰う必要を認めたということなのだ」
コウゾウはそれだけ言うと顔をリツコの方へ向け、彼女への指示を出した。
「赤木博士。シンジ君の零号機起動が成功したら、私に連絡してくれたまえ。君には後でシンジ君がドグマへ降りるサポートをして貰う。シンジ君には昨日の槍を持ってドグマへ降りて貰い、そこでやって貰いたい作業があるのだ」
「昨日の槍ですか? 何故あれを?」
「お前が知る必要のないことだ」
シンジはついでとばかりに付け足された指示に対する疑問を口にしたが、それまで黙っていたゲンドウが口をはさみ、満足な答は得られない。
「ドグマに降りた後のことは追って指示する。下がれ」
「またそれですか」
シンジは納得できないままではあったが、それ以上食い下がるのも時間の無駄であることを知っていたので、そこで部屋から退出した。
「さて、さっきの続き、訊かせて貰うわよ」
リツコはシンジが司令執務室から自分の研究室へ戻ってくると、用意しておいた映像を再生しながら訊いた。
「昨日、初号機は翼を広げて飛んだの。覚えてる?」
「いや、あの……気付いたら空にいたのは覚えてます。目の前に槍があって……」
「やはりそうなの……」
音声や脳波の記録でも、初号機が槍を掴んで使徒を目掛けて落ちていく直前まで、シンジが普通の精神状態でなかったことは判明していたからだ。
「それで、あの槍は何なんですか? あれを持ってドグマに降りろって言われたんですけど」
シンジはもちろんその正体を知っているが、知らない振りをし続ける手間を省くため、ここで知識を得ておくことにした。
「わからないから、これから分析に掛けるつもりよ。あの槍、使徒のATフィールドを突破する機能を持っているようなの。ひょっとすると、これからの戦いの切札になるわね」
この時リツコの眼鏡がキラリと光った。
(まさか知らない? いや……僕に話せないだけか?)
「へぇ、そりゃいいですね。それでドグマって何ですか?」
シンジは一瞬の心の動きを隠すように言った。
「ああ、司令たちの言ったドグマというのはターミナルドグマの略で、このジオフロントの最深部のこと。最重要機密区画だから、普通の職員は近寄ることも許されてないわ」
「何があるんですか?」
「それは……いえ、話せないか……。自分の目で確認すべきね」
「そうですか……。ところで何で僕が零号機に乗るんでしょうね。初号機じゃダメなんですか?」
リツコは、図らずもS2機関が搭載されたことで、最早使徒そのものと言っても過言ではない初号機を『アダム』に接近させることの危険を避けるためだろうと推測していたが、それはシンジに話せる内容ではなかった。
「司令たちの考えは解らないわ……」
「初号機はまた凍結で、これからは僕に零号機で戦えとでも言うんですかね?」
「それはないわね。零号機のパイロットも探しているから……」
リツコはシンジがプラグスーツに着替えて第6ケージへ向かうために部屋を出ていくのを確認すると、シンジが戻ってくる直前まで読んでいた書類に意識を戻した。
(シンジ君がこれを知ったらどう反応するのかしら?)
マルドゥックレポートNo.4。それはフォースチルドレン、山岡ルナの調査報告書だった。
シンジによる零号機の起動実験はあっさり成功し、シンジの乗った零号機はターミナルドグマに降り立っていた。
『シンジ君。聞こえるかね?』
ゲンドウには追って指示すると言われていたが、その時、零号機のシンジに話しかけてきたのはコウゾウだった。エントリープラグ内のモニタには安全第一と書かれた黄色いヘルメットをかぶり、作業用のコートを羽織ったコウゾウの姿が映っていた。コウゾウは小型の通信機を使っている。
「はい、聞こえます。冬月先生が自ら陣頭指揮ですか?」
『六分儀が私に押し付けたのだよ』
コウゾウの指揮の下、シンジの乗った零号機は通称ヘブンズドアをくぐり抜け、ターミナルドグマに磔にされた白い巨人の前に立っていた。白い巨人の顔の部分には、逆三角形で左に三つ、右に四つの目玉の描かれた仮面が取り付けられている。
『シンジ君。その巨人の胸の部分に槍を突き刺してくれ』
「これでいいですか?」
『ああ、それで構わない。では、ちょっと下に降りて貰えんか。少し話をしよう』
シンジは零号機から地面に降り立ち、改めて周囲を見回した。
先程までは、白い巨人に槍を突き刺すことに集中していて周囲に目を配る余裕もなかった上に、視野がエヴァンゲリオンのスケールになっていたこともありシンジは気付いていなかったが、そこはサードインパクト後の紅い世界をそのまま切り抜いたような所であった。
紅い海、そして白い塩の柱――
「ヘブンズドアをくぐり抜けたこの場所。これが天国なんですか?」
シンジはそれを尋ねずにはいられなかった。
「全ての原罪が完全に浄化させられた、この世界こそを天国と称する者がいるのは確かだよ。私は罪に塗れても生きていくことを望むがね……。ここは私の見た南極と同じだよ。セカンドインパクトの結果、南極にはここと同じ風景が現れた。そして、あれから15年を経た今もそのままだと聞いている」
「冬月先生は南極に行かれたことが?」
「2002年。何も知らない私が南極でのセカンドインパクトの調査に誘われた。その時にね。あそこは本当に酷い所だった……」
「それで冬月先生はGEHIRN、そしてNERVに?」
「ああ、君は本当に昔のことを良く覚えているのだな。それでは少し昔話をしようか……」
コウゾウはシンジを連れて話をしながらターミナルドグマの各所を案内した。
「先程の白き巨人。あれを我々は第1使徒アダムと呼んでいる。南極でセカンドインパクトを起こした元凶だよ」
「セカンドインパクトは人が起こしたと、この前聞いたばかりですよ」
「うむ、そうだったな。だが、君は爆弾とその起爆スイッチがそこに在り、誰かがボタンを押して爆発した結果、君の大切な人が亡くなった。その時、ボタンを押した人間だけを恨むことができるかな?」
「ボタンを押した人間よりも爆弾の存在を恨むべきだと?」
「君は第二次世界大戦で日本に原子爆弾が落とされたことは歴史の授業で習ったかな?」
「はい」
「原爆を日本に落とした国はアメリカだった。落とさなければ原爆の被害はなかったのだから、落としたアメリカを恨むのが本筋かもしれん。だがね、その当時のアメリカは特に日本から見ると強大な国でね――戦勝国でもあるのだから当然とも言えるが――日本人はアメリカでなく、原爆の存在そのものを恨むようになったそうだよ。一部に原爆を落とさなければ戦争も終わっていなかったのだから、それは必要悪だったという論調があったせいでもあるがね」
「使徒は原爆と同じですか?」
「セカンドインパクトに関しては、引鉄を引いた者たちがいることすら隠蔽されている――隕石の仕業と言うことにされているね。一方、そのことを知っている一握りの権力者は引鉄を引くことが避けられなかったことをも知っている。その結果、隕石が落ちた不運を嘆くか使徒を恨むかのどちらかということになる」
「本当に引鉄を引くことは避けられなかったんですかね……といっても、判断材料を持っているであろう人たちがそう言っている以上、真実は闇の中と言うことですか」
「ここは?」
その頃二人は、無数の巨大な人型が朽ちて広がる空間を足下に見ていた。
シンジはもちろんその場所を知っているが、あえてコウゾウに尋ねた。
「GEHIRN時代からある第2実験場だよ。君のお母さんの実験が行われた場所でもある。今は出来損ないのエヴァの墓場に過ぎんが……」
「なるほど、道理で見覚えが……」
二人は更に歩き続け、ある扉の前に到着した。
「人工進化研究所第3分室?」
シンジはその場所へ案内されたことに対する驚きを何とか押し隠して訊いた。
「ここはね、ユイ君の研究室そのものだったのだよ。そして、今は綾波レイが住んでいる」
「綾波……さん。恐らく助からないだろうと聞きました」
「そうだったな。それじゃあ、昨日まで住んでいたと言い直そうか……」
「何故こんな所に?」
「本人の希望だよ。私には理解できないがね」
「この中に、大きな水槽がありませんか?」
「私は一度しか入ったことがないのだが、水槽などに見覚えはないよ。しかし、何故そんなことを訊くのかね?」
「いや、幼い頃母に連れられてきた時に見たような気がしたんですが……。記憶違いみたいですね」
「ここまで連れてきておいてなんだが、勝手に中には入れんよ。女性の部屋だからね」
やがて二人は零号機の下まで戻っていた。
「先程は言い忘れたが、使徒はあのアダムを目指してここに来ると言われている。だからここにNERV本部が置かれているのだよ」
「冬月先生。僕はサードインパクトを必ず阻止します。絶対に引鉄を引かせたりはしません。アダムの元を去ったリリスの住処は、やはり地獄です」
「シーンちゃん♥ 何考え込んでるの?」
山岡家のリビングのソファーに座り、黙り込んでいたシンジの横に張り付くように座ったのは山岡リナだった。
「いや、僕らは本当にこのままでいいのかな……ってね」
「やっぱり、綾波さんが死んじゃったのが気になるの?」
「そりゃ……ね。ラミエルが危険なのも、いきなりエヴァで発進させられるのも知ってたんだから、あれは無駄死にじゃないかって思わずにはいられないんだよ」
「躰が変わるだけだわ」
過去において自分が『綾波レイ』だった経験を持つルナは冷めている。
「そうだとしてもなんだけど、どうも替わりもないような感じなんだよ。リツコさんはフォースチルドレンを探してるって言ってたし」
「じゃあ、ルナの出番ってこと?」
「ナオコさんにコード707の細工をして貰ったのはいいとして、コアってどうするんだろう……」
「もしかして、私たちが狙われたりして……」
「可能性はある……ね。これまた早まったかな?」
シンジは両手を頭の後ろに組みながら胸を反らすように天井を見上げた。
「私が一回でも乗ればいいのね」
「それはそうなんだけど、どうやって? やっぱり、リツコさんを早く味方に引き込むべきかな。でも、解らないことばかりなんだ」
「どういうこと?」
「リツコさん。前より、色々なことを知らされてない感じがするんだよ」
「それなら、かえって味方に引き込みやすいってことじゃないの?」
「そりゃ、そうなんだけどさ、前ならリツコさんが引き受けてた秘密の仕事をこなしてる人が他にいるって事になるから……」
「引き込むだけ無駄って事?」
「碇君。それでも赤木博士は技術部長よ」
「やっぱり、直接当たるしかないか……」
すると山岡カホルが結論めいたことを言った。
「綾波レイが存在しない以上、NERVの計画は実行できないということになるわ。もうNERVは丸ごと味方に引き込むことを考えるべきよ」
「もうすぐアスカが来るんだよね。来てからもう一度考えようか」
「お、おはよう。シンジさん」
「あ、おはよう。カホル……さん……って、何で僕と一緒に寝てるの?」
その前日、9月13日はカホルの誕生日だった。誕生日プレゼントと言うことでルナとリナの許可をようやく得たカホルは、深夜寝静まったシンジのベッドに潜り込んだのだった。
「ありがとう♥」
そう言って頬を染めながら、カホルはシーツを胸元に引き寄せた。彼女は女優だった。
(何も覚えてないよ……)
「ド、ド、ドウイタシマシテ」
シンジは冷や汗を流しながら答えた。
(カヲル君じゃなくてカホルだから別にいいか……)
人生経験が無駄に長く、特に二回目の人生では様々なことを経験したシンジだったので、開き直るまでにはそう長く時間は掛からなかった。
「おはよう。碇君」「おはようございます。シンジ様」
「おはよう。シンちゃん♥」
挨拶の言葉だけを掛けるルナとアヤネを他所に、リナはいつも通りシンジに絡み付きながらの朝の挨拶だった。しかし――
「カホルさんの匂いがする」
これも全てシナリオ通り。リナもまた女優だった。
「エ? ボ、ボ、ボク、シャ、シャワーアビナキャ」
「シンジ様。現在浴室はカホル様がご使用になっております」
「碇君。シャワーまで一緒なの?」
シンジはその場を逃げ出そうとしたが、アヤネとルナがそれを妨げた。
耳をすませば、食堂のテーブルに着いていても、浴室からカホルの鼻唄が聞こえてくる。もちろんそれは喜びの歌。
山岡家の風紀は乱れている。
「同衾はいいわね。同衾は心も体も暖めてくれる。リリンの生んだ愛情表現の極だわ……」
「いいなぁ、カホルさん。シンちゃん優しかった?」
「ええ、とっても。シンジさんはやはり繊細ね。好意に値するわ」
「私とリナは双子って設定なの。その時は三人一緒なの? 碇君」
浴室から戻ってきたカホルにリナが声を掛け、昨夜の出来事について会話を交す横で、ルナは早くも自分の誕生日の事を心配していた。
彼女らは皆、これからの――それが永遠なのかどうかすら判ってはいないが――永い年月をシンジと共に生きていく約束をしている。カホルが昨夜シンジとイタしたかどうかなど些末事に過ぎない。それに――彼女らは神の寵愛を独占したいなどというおこがましい考えは持っていなかった。彼そして彼女らの風紀は人間の倫理観などで量るわけにはいかないのだ。
シンジはここへ来てようやく浴室へと逃げ出すことに成功した。
「シンちゃんも意外に役者よね」
「いいえ、シンジ君は本当に狼狽えていたのよ。それはきっと、相手が私だったから。男と女は等価値ではないわ――シンジ君にとってはね」
シンジのいなくなった席ではリナとカホルがそれぞれの感想を述べあっていた。世の女性は全て女優である。
「碇君。今夜、赤木博士が家に来るわ」
学校の昼休み、皆で机を囲み弁当を広げている席でルナがシンジに言った。
ルナは午前の授業中に校長室への呼び出しを受け、そこにはリツコが待ち構えていた。
「NERV本部技術部部長の赤木リツコです」
それまで校長室のソファーに腰掛け、ルナの入室を待っていたリツコは、ルナに名刺を手渡しながら、そう自己紹介した。
「赤木博士……」
ルナは手渡された名刺を見つめながら呟いた。
「山岡ルナさん。今日はあなたにお願いがあって来たの。あなたには我々の決戦兵器であるエヴァンゲリオンへの適性があります。できればパイロットになって欲しいの」
ルナの答は本心では決まっていたが、彼女もまた女優であった。
「……」
「今直ぐに返事を貰おうとは思っていません。でも数日中には決めて貰いたいわね。ご家族とも相談して、良く考えて決めてちょうだい」
名刺を見つめたまま無言を貫くルナに対し、リツコは助け船のつもりで言葉を掛けた。
「赤木博士。できれば今夜にでも、碇君や私の家族と一緒にお話を聞かせてください」
「ただいま」
「お邪魔します」
その日の実験を終えたシンジがリツコを伴いNERVから山岡家へ帰宅したのは夜7時を回るところだった。
山岡家の面々は既に夕食の支度を終え、シンジの帰宅そしてリツコの来訪を待っていた。夕食のメニューはシーフードカレーにミモザサラダ。食後のデザートにはスイカが用意されていた。
シンジを含む山岡家の五人がリツコを交えた夕食を楽しみ、デザートまで平らげると、テーブルの上には紅茶のカップが並べられた。
「カレーの後なので紅茶を用意させていただきました」
「リツコさん。僕がエヴァのシンクロシステムを知らないと思ってますか?」
シンジは単刀直入に切り出した。
「NERVがエヴァのパイロットを見つけるのではなく、自ら作り出していることくらい知ってますよ。今度は双子に目を着けたというわけですか?」
返事を返さないリツコの様子を見て、シンジは更に切り込んだ。
リツコは当然のことながら、A10神経接続によるコアにインストールされた肉親とパイロットの交感というシンクロシステムを知っている。そして、コード707に集められているパイロット候補生たちに対応するコアは既に用意され、NERV内に保管されていると聞かされていた。
(双子に目を着けた?)
リツコは慄然とした――ルナに対応するコアが存在しないことまでは知らなかったが、保管されているコアとのシンクロが不調なら双子の姉妹が狙われることは十分考えられる。
「ルナのシンクロテストをコアの変換なしで行ってください。それでエヴァが起動できるなら、僕はルナを戦う仲間として受け入れます」
(そうね……)
リツコ本人としても、これまでの経緯から真の適格者でないパイロットを登用することには疑問を持っていたため、シンジの提案に魅力を感じたことは確かだった。
しかし、リツコが口に出したのは反論だった。
「パイロットになるとは限らない人間をテストとは言えエヴァに乗せるわけにはいかないわ」
「トウジやケンスケは乗りましたよ。それに――」
リツコの言葉に対してシンジはそう切り返すと、更にリツコの耳元に口を寄せて囁いた。
「大丈夫。ルナは僕と同じです」
シンジはそのような効果を狙っていたわけではなかったが、その瞬間、リツコは頬を染めた。
「検討……してみるわ」
それが、リツコの最終的な回答だった。
リツコが頬を染める様子を見ていたリナは後に言った。
「リツコさんって案外初心なのね。照れちゃって、可愛かったぁ♥」
NERVは眠らない。
その日も早朝から薄暗い司令執務室に篭ったゲンドウは、電話で話していた。
「また君に借りができたな」
『返すつもりもないんでしょう? 彼らは情報公開法を盾に迫ってきましたが、ダミーを混ぜてあしらっておきました。政府は裏で法的整備を進めていますが、近日中に頓挫の予定です。で、どうです? 例の計画の方も、こっちで手を打ちましょうか?』
「いや、君の資料を見る限り、問題はなかろう」
『では、シナリオ通りに……』
シンジのクラスメートたちは、遠く街の中心に先日の使徒の残骸が覗く教室の窓から外界を見下ろし、次々に学校へとやってくる大人たちを眺めていた。
その日の授業は午前中で全て終了し、午後からは生徒たちの進路相談が行われている。窓から外を覗く生徒たちは、級友の保護者たちの姿を値踏みしているのだ。
うぉおおお
「誰や、あのお姉ちゃんは?」
「山岡シスターズの姉だよ」
その時教室の下を日傘片手にゆっくりと落ち着いた足取りで歩いていたのは、山岡家の保護者役であるアヤネだった。
アヤネは白いタイトミニのツーピースのスーツを着用し、インナーに空色のブラウス、そして、白のパンプスといった装いであり、やや背中に掛かる程度のセミロングの黒髪は、細目に編んだ三つ編みの房を左右に一本ずつ垂らしている。ホンノリ程度に施したナチュラルメークは、歳は離れていても、この春大学を卒業したばかりのまだ若い姉という設定に相応しい雰囲気を醸し出している。
アヤネは、上方の教室の窓から聞こえる地響きのような男子生徒の歓声に気付くと、窓を反射する夏の太陽を眩しげにしつつ、男子生徒が自己主張している窓辺に向かって微笑んだ。
「ってことは、碇の保護者でもあるって事?」
「え? って何、碇って山岡たちと同居してんの?」
「おい、お前情報が遅すぎるぞ!」
「いずれにしても、碇の奴め……」
その時窓辺に集合していたのは男子生徒ばかり。洞木ヒカリは鈴原トウジが窓辺に張り付いているのを見つけると、周りの女子生徒と共に嫌悪感を隠さない侮蔑の視線を男子生徒たちにぶつけながら言った。
「馬鹿みたい」
その日行われた進路相談で、シンジの希望は「島を買って、のんびりと隠居生活」。山岡三姉妹の希望はそれぞれ、「シンちゃんのお嫁さん」、「碇君のお嫁さん」、「シンジ君のお妾さん」であった。
NERV本部第6ケージでは、技術部そして作戦部の面々が見守る中、その日フォースチルドレン候補であるルナによる零号機の起動実験が行われていた。
単なる使徒戦の駒に過ぎないルナの実験には、ゲンドウやコウゾウが顔を出すこともなく、実験は恙無く進行した。
「ボーダーラインクリア。零号機起動しました。シンクロ率70.4%」
伊吹マヤの報告にリツコは首を捻りつつ呟いた。
「零号機とシンクロしたというの? コアの変換も無しに? しかも、初めてのテストでファーストチルドレンを遥かに上回るこのシンクロ率……」
零号機にはリリスの魂の欠片が建造以来10年間という時をかけてゆっくりと育まれていた。三回目までの人生において、最終的に暴走したとはいえ、魂がインストールされていないはずの零号機とシンジがシンクロしたのは、その欠片の存在故である。万物の母たるリリスの魂の欠片の宿る零号機や初号機は、本来、誰とでもシンクロしうる機体であった。それに加え、被験者であるルナはベテランの零号機パイロットであり、自分自身がリリスの魂の欠片を持った経験をも持つ者。このような結果は当然とも言えた。もっとも、それらの事実を知る者はNERVには存在しなかった。
(ここにも私がいるの?)
およそ10年ぶりという久しぶりのシンクロテストを受けながら、ルナはそこに魂の存在を確かに感じていた。
ルナによる起動実験を終えたNERV職員が、雑談しながら撤収する中でリツコは誰にともなく言った。
「零号機も無事に再就役。これでドイツから弐号機が届けば、使徒との戦いも少しは楽になるのかしら……」
「逆かも知れませんよ? 地上でやってる使徒の処理も、只じゃないんでしょう?」
リツコの言葉に反応したのは、葛城ミサトの後任として新たに作戦課課長に就任した日向マコト一尉だった。
「そのための司令よ。今はまた機上の人ね」
「司令が留守だと、ここも静かでいいですね」
マヤは司令不在を喜ぶようなことを場所を憚らずに言った。
「失礼。便乗ついでに、ここ、よろしいですか? サンプル回収の修正予算。あっさり通りましたね?」
中国系の男が国連軍所有のSSTOの機内で、隣の席に腰を下ろしつつゲンドウに話しかけた。
「委員会も自分が生き残ることを最優先に考えている。そのための金は惜しむまい」
「使徒はもう現れない……というのが、彼らの論拠でしたからね。ああ、もう一つ朗報です。米国を除く全ての理事国が、エヴァ六号機の予算を承認しました。ま、米国も時間の問題でしょう……。失業者アレルギーですしね、あの国」
「君の国は?」
「八号機から建造に参加します。第2次整備計画は、まだ生きてますから。ただパイロットが見つかっていないという問題がありますが」
「使徒は……再び現れた。我々の道は彼らを倒すしかあるまい」
「私も、セカンドインパクトの二の舞はごめんですからね」
男はそう言うと、手に持った瓶から直接、ウィスキーを一口あおった。
零号機の実験後、シャワーと着替えを終えたルナは、リツコの研究室を訪れていた。
「山岡ルナさん。起動実験は無事成功したわ。正式な契約は司令が戻ってからということになるけれど、フォースチルドレンに就任してくれるわね」
「はい」
リツコの意志確認に対するルナの答は簡潔だった。
「契約内容は僕のものと同じようにしてください」
同席していたシンジは契約について意見を述べた。
シンジやルナにも、本音として特に金銭面の条件で譲る考えはあったが、安易に譲ることは人の価値というものを蔑ろにすることに繋がる。そのため、自らそれを言い出すつもりはなかった。
「……善処するわ」
リツコは首脳部との折衝を思い浮かべて溜め息を吐いた。
その日に使徒の襲撃があることを自らの経験から予測していた惣流アスカ・ツェッペリンは、プラグスーツを着込み、弐号機を輸送する輸送艦オスローの上で出番を待っていた。
使徒との戦いは、太平洋艦隊の外縁部に配置された戦艦が何の前触れもなく突然撃沈させられたところで開始され、それが使徒の攻撃であることを察知したアスカは即座にエントリープラグに乗り込み、弐号機を起動させた。
弐号機は起動直後、オスローの上に立ち上がり、肩の武器ラックに仕込まれたプログレッシブナイフを取り出して右手に装備し、構えを取った。ここまで起動から約5秒。
その時、それまで太平洋艦隊の周囲を何かを探しまわるように動いていた使徒が、弐号機の発する強力な存在感に惹かれたかのように、突然オスローを目指して進路を変えた。一方、弐号機も使徒が自らを目指して水中を進んでくるのを視界に捉えた。
およそ5秒の後、オスロー直近まで接近していた使徒は弐号機を目掛けて水上へ飛び上がる。
全身が露になった使徒は、空母オーバー・ザ・レインボウの大きさに匹敵する白い巨体を持ち、首周りには赤い帯、腹側は黒色という異形のモノであった。長い尾鰭に加え、左右にも羽状の大きな鰭が存在し、更に口には鋭い鋸状の歯も存在した。
使徒が自らに向かい飛び付いてくるのを見据えたアスカは、まず始めに使徒本体の口を中心として、ATフィールドの刃を纏ったナイフを左右に往復させ、使徒を3枚に下ろした。それは僅か2秒足らずの早業だった。
次いで、左右の鰭を縦に振るったナイフで切り落とす。これもおよそ2秒の出来事だった。
この時点で、使徒の口の中に隠されていたコアは、ばらけながら飛んでくる使徒の肉片の内の中央の1枚の先端に露出していた。弐号機はそれを見極めると即座にナイフを振るう――
ずばっ
その後、コアを破壊されたことで活動停止した使徒の各部位は、慣性力のみで空中を舞っていたが、それらはコアの破壊直後に弐号機が大きく展開したATフィールドによりオスロー周辺に弾き飛ばされた。
アスカが弐号機を起動させてから、使徒を殲滅しオスローをも守り切るまでに要した時間はわずか22秒だった。
ぱち、ぱち、ぱち、ぱち
NERV本部のブリーフィングルームには、その時、使徒との戦いに直接関係する作戦部と技術部の職員とエヴァンゲリオンのパイロットたちが集合していた。
部屋の最前に設置されているモニタには、その日の午後太平洋上で繰り広げられたエヴァンゲリオン弐号機と第6の使徒ガギエルとの戦いの記録が映し出されている。
「流石だなぁ」
記録映像を見終えると、シンジは拍手しながら感嘆の言葉を述べた。隣ではルナも拍手している。
アスカはやや照れた顔を見せている。
「そういうわけで、こちらが今日から本部での使徒戦に参戦することになった、エヴァンゲリオン弐号機専属パイロット、元ドイツ第3支部所属のセカンドチルドレン、惣流アスカ・ツェッペリンさんです」
マコトが改めてアスカを紹介すると、ブリーフィングルームには改めて拍手が起った。
「そして、こちらは惣流キョウコ・ツェッペリンさんです。弐号機の制作責任者でアスカさんのお母さんでもあります。本部では技術部顧問という立場で協力して貰うことになります」
アスカの母、惣流キョウコ・ツェッペリンを紹介したのはリツコだった。
司令執務室の机の上に置かれた厳重に保護・封印されたトランクを前に、加持リョウジはゲンドウと対談していた。
「いやはや、波乱に満ちた船旅でしたよ。やはり、これのせいですか?」
ぷしゅーっ
「既にここまで復元されています。硬化ベークライトで固めてありますが、生きてます。間違いなく。人類補完計画の要ですね」
リョウジが封印を解いて開けたトランクの中央には、周囲をベークライトで完全に固められた胎児状のモノが納められていた。
それまで完全に黙っていたゲンドウは、そのモノを目の当たりにしてようやく口を開いた。
「そうだ。最初の人間、アダムだよ」
キョウコとアスカの惣流親子が来日したその日の晩、山岡家では彼女らの歓迎会が細やかに催されていた。
参加者は、NERVの職員からリツコ、マヤ、マコト、ミサト、そしてリョウジ。他には山岡家の面々とシンジだった。
子供たちはジュースやお茶を、大人たちはビールやワインを楽しみつつ、山岡家の面々が準備した料理をつまんでいた。中にはシンジが腕を奮ったモノもあった。
個別での会話が弾む頃になると、キョウコがシンジに話しかけた。
「そう、あなたがユイの……」
「はい。碇ユイの息子の碇シンジです」
キョウコは碇ユイの学生時代を知っていた。そして二人はひとしきり昔話を楽しんだ。
宴もたけなわとなると、大概は暴露話が飛び交うようになる。そういう場面で餌食になるのは子供ということに相場は決まっている。
当然、この場での犠牲者はアスカであった。アスカの母、キョウコにはやや酒乱の気があった。
「で、アスカったら5歳にもなっておねしょ「きゃあぁぁ、いやあぁぁ。ママ余計なこと言わないでぇぇ」」
その後、アスカが暫くの間バルコニーに避難したのは言うまでもない。
時刻が夜10時を回る頃になって歓迎会はお開きとなった。
アスカとキョウコは山岡家の客間に泊ることになり、他のNERV職員たちはそれぞれ自宅などへと帰っていった。
「それでアスカ、お母さんにはどれくらい話してあるの?」
山岡家に残った客が惣流親子だけになると、シンジは切り出した。キョウコは既に酔っぱらって眠りに就いている。
「何にも話してないわよ」
アスカはキョウコに何も話していなかった。理由は二つあった。一つは、精神年齢14歳にもなっておねしょをした屈辱感。もう一つは、思わず現在ではお気に入りになっている猿のぬいぐるみに付けてしまったバカシンジという名前であった。その結果、彼女はこの10年間、肉体年齢に合わせた人生を送ってきた。彼女もまた、女優であった。
「そんなことより、あんた、何ハーレム作ってるのよ。パパとママとハッピーになるんじゃなかったの?」
「いや、それには複雑な事情が――」
そして、シンジは10年前のユイの実験以来の出来事をアスカに話して聞かせた。
「それじゃあ、あんたの計画って速攻で失敗したって訳ね。やっぱあんたバカシンジだわ」
「まぁ、今では悪いことばかりじゃなかったと思ってるんだけどね……」
シンジは役者向きではなかった。そのため、彼が3歳児の時点で祖父、碇シンタロウの元へと赴き、そして全てを話したことで、その後の人生を14歳まで育った精神年齢を無理に隠すことなく送れたことは、それだけでも大変有意義であった。
「久しぶりね、弐号機パイロット」
ここで割り込んだのはルナだった。
「え? あんたフォースじゃないの? 見た目も違うし、ファーストはどうなったの?」
「綾波……さんはこの前の第5使徒戦で――詳しくは教えてもらってないけど――実質的には死んでいるのと同じだと聞いた」
シンジは話し辛さを振り払い、事実を淡々と述べた。
「死んだって……。どうして?」
「本当は多分、昔の僕の時も危なかったんだ。エヴァが地上に出た瞬間に、いきなり身動きも取れないまま荷粒子砲の直撃を喰らってね……。僕の時は助かったけど、綾波……さんは助からなかったんだ」
それから間もなく、シンジたちはルナがフォースチルドレンになった顛末なども含めて自分たちの近況を全て語り終えた。
「じゃあ、結局NERVとSEELE両方相手にする羽目になってる訳?」
「今のところはそうなるね。でも、綾波……さんがいない今なら、NERVの計画は潰れてるのと同じだよ。だから、そろそろNERVの方は何とかしようと思ってる」
「どうやって?」
「まぁ、出来ることなんてそんなに無いんだけどね。せいぜい使徒戦が終わってもSEELEのエヴァとの戦いが待ってること。その前に下手すると戦自が攻めてくることを教えといて準備して貰うくらいだから」
「これから来る使徒は?」
「僕らにはサードインパクト直後までの情報を完全に持ってるMAGIがある。だから、出せる情報はあるんだけどね、どうしても胡散臭いでしょ? それに、これから来る使徒はあらかじめ実戦データが与えられていたからと言っても、あっさり片付く良い作戦をポンと立てられるものでもないし……」
「言われてみればそうね。あたしたちが知ってれば十分か、知ってても対処が難しいかのどっちかってことか」
「アスカちゃん。あなた、いつの間にシンジ君とそんなに仲良くなったの? ママ嬉しいわ」
突然会話に乱入してきたものの、キョウコはそこで突然目を覚ましたわけではない。全てを聞いた上で狸寝入りをやめただけのことである。彼女もやはり、また、女優だった……。
翌日、NERV本部での仕事を始める前に久しぶりの日本を満喫してくるわと言い残したキョウコが、休暇を取って一人出かけた先は京都だった。
新世紀エヴァンゲリオンは(株)ガイナックスの作品です。